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ミヒャエル・エンデ 作・絵
大島かおり 訳
1937年 

ある大都市の郊外、古い円形劇場の廃墟に、モモという女の子が住み着いた。
モモは、「人の話を聞く」ということに不思議な才能を持っていた。
近所の人々は彼女に食べ物を与え、また話を聞いてもらうため、しょちゅう円形劇場を訪れるようになる。
仲良しの友達もでき、モモは楽しく暮らしていた。
しかし、ある時から人々は急に忙しくなり、モモを訪ねる人もいなくなってしまう…


いわずと知れた、児童向けのファンタジー。
でも私達大人には、これは単なるファンタジーじゃない!

ビッポじいさんがモモに話した、仕事のやり方。
「一度に全部のことを考えてはいけない。
 次の一歩のことだけ。
 すると楽しくなってくる」
胸にジ〜ンと響いて、涙が出た。

時間をとられた人達は、まるで私達。
いつも時間が足りず、「忙しい」と言い、忙しくしていないと生活が成り立たない。
どうして、いつから、こんなふうになっちゃったんだろ。
きっと私達のところにも、時間貯蓄銀行の灰色の人がやってきたに違いない…

私達の世界には、モモみたいに不思議な力を持った子はいないけど、子供らは大人達よりマトモだ。
子供の言葉に耳を傾けることが、時間を取り戻すことにつながるんじゃないか。
高価なゲームやおもちゃを買い与える前に、話を聞き、一緒に過ごしたり遊んだりしたら、
時間の流れ方が変わるんじゃないか。
みんなで「せーの」でやらないと、ダメなんだけど。
無理か。
…。

「お母さん、モモ読んだ方がいいよ!」
私にこの本を読むように薦めてくれたのは、小学生の娘でした。
読んでよかったよ。
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評価:
エーリヒ・ケストナー
東京創元社
¥ 630
(2000)

「消え失せた密画」「雪の中の三人男」「一杯の珈琲から」…ケストナーのユーモア三部作と呼ばれる作品群です。
ケストナーと言えば、「エーミールと探偵たち」や「飛ぶ教室」などの児童文学がおなじみで、子供の頃に読んだことのある人も多いでしょう。

この三部作は、ナチから執筆を制限されていた時代に書かれたもので、社会の暗い面やそれに対する不満などは、一切語られません。
登場人物が大人ではあるものの、子供向けに書かれた作品と同じ雰囲気の、楽しい冒険小説になっています。
ケストナーお得意の、変装とか入れ替わりとか取り違いとかが、どの作品でも物語の発端。
そして最後にはハッピーエンド。
ケストナーの児童書が好きな人、ちょっと昔のお洒落なラブコメ映画が好きな人にもオススメします。

一つ残念なのは、訳が古い!
もっと新しい訳なら、作品の良さがもっと際立つのになぁ。
‘枢密顧問官’って何だろう…?

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| | 13:11 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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リンドグレーン 作
大塚勇三 訳
1945年 スウェーデン
岩波少年文庫


誰もが知っているこの有名な児童書のシリーズ3冊を、40歳になって初めて読みました。
小学生の頃に読み始めたことがあったんだけど、途中で嫌になってやめっちゃったんだよね〜。
真面目で頭のカタイ子供だった私には、ピッピの魅力が理解できなかった。
彼女のハチャメチャぶりを、笑えなかったのね。
40になった今、何度も噴出しながら読みましたワ。
オモロ〜!
これを笑えなかったなんて、つまんない子だったなぁ、私って。

確かにこのピッピという型破りなキャラクターは、出版された当時は批判もされたらしいです。
でも、(私みたいなの以外の)子供たちはすぐに彼女の魅力の虜になり、その人気は今も続いています。
読む者を楽しく、元気に、そしてなんだかあったかい気持ちにさせてくれるピッピちゃんみたいなキャラは、ほかにはないですよね。
彼女を創り出したリンドグレーン女史は、素晴らしいです!

私も、今ではもちろんピッピ大好き。
ちょっとはまともな大人(子供?)に成長できてるらしいわ。





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カズオ・イシグロ
土屋政雄 訳
2005 イギリス

ルーシーは‘提供者’の世話をする‘介護人’を、14年間続けている。
しかし、その仕事もあと数ヶ月で終わることになった。
ルーシーは、自分が生まれ育った施設へールシャムに思いを馳せる・・・


ジャンルでいえば、ミステリー、ってことになるんでしょうが。
特異なミステリーです。
‘衝撃作’の評判通りでした。

‘提供者’の意味とか、大筋は読み始めてすぐ分かってしまいます。
でも、分かってからが怖い。
怖くて、でも先が気になって、取り憑かれたように読み進んでしまう。
そして、結末さえも分かっていたはずなのに、ラストでは茫然自失・・・
読み終わってからもしばらくは、なんとも言えないやるせなさが残って、いつもの自分に戻るのが難しかった。

読み応えのある、分厚さと、内容。
文庫も出たようですし、ミステリー好き・本好きにオススメです。

カズオ・イシグロは長崎生まれで、幼少時にイギリスに渡り、現在イギリスで作家活動をしています。
イギリスの文学賞を受賞した「日の名残り」も、面白かった!
| | 11:39 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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梁石日
2002年 幻冬舎文庫

タイの貧しい山村では、人身売買が頻繁におこなわれている。
売られた子供たちは家畜以下の扱いを受け、児童買春、そして臓器移植の提供者としても利用されるのだ。
社会福祉センターでボランティア活動をしている音羽恵子は、なんとか子供たちを救いたいと思うが…


夏に公開された、同名の映画の原作です。

フィクションなので、すべて鵜呑みにするのは違うのかも知れない。
でも、描かれている子供たちの現状が本当だとすれば、あまりにショッキングだ。
日本では、「モンスターピアレント」なんて言葉が流行るくらい過保護・過干渉な親が増えているが、それは生活が豊か(豊か過ぎ?)であるからこそだ。
子供を売るしか生きる道がない。そんな貧しい人々が、身近なアジアの国々にもたくさん存在するのだという。

自分には何もできない。
何かしてあげたいと思うけど、主人公の音羽さんみたいな行動力はない。
私って役立たずだ。

それでもとにかく知ることは大事だと、最近よく思う。
知ることが、最初の一歩。
皆が知るようになったら、闇は闇でなくなる。
太陽の光が照らし、風が吹き込む。
| | 22:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |


歌野晶午
2003年
文春文庫


ミステリー大賞受賞作だそうです。

日本のミステリー小説なんて、学生時代に読んだ赤川次郎とか、夏木静子ぶりじゃないだろうか。
最近、読みたい本がなかなか見つからなくて、今まで避けてきたジャンルにも手が伸びるようになりました。

しっかり騙されましたよ。
途中、何となく違和感を覚える場面は、何回かあったんです。
でも、見抜けなかったな〜。
勘のいい人には分かっちゃうかも。

最後は思いがけなく感動させられました。
そう、人を好きになるって、不思議なものです。
爽やかな読後感でした。
| | 14:38 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |


スアド 作
松本百合子 訳
2003年 フランス
ソニー・マガジンズ ヴィレッジブックス


結婚前に男性と付き合ったたために、家族に火あぶりにされた女性が、実体験を語ったもの。

女には何の権利もない。
働かされ、子供を産むだけ。
掟に背いた者は、殺される。
そんな残酷な因習が続いている地域が、世界には今でも数多くあるという。
衝撃的な話だ。

閉ざされた世界で起きている過ちを、私達は知らずにいる。
この本が出版されたことで、それが皆の知るところとなり、大昔から連綿と受け継がれてきた悪習を、断ち切る力になるといい。
きっと、そうなっていくんじゃないか。

この本はフランスではベストセラーになっているそうだ。
日本でも、他の国でも、もっともっと読まれるといいと思う。

つらい過去と傷跡を持ちながらも前向きに頑張っているスアドさんを、心から応援したい。

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河合香織
2004年
新潮文庫


障害者の性についての、ルポタージュ。
障害者や介助者に会い、彼らがどんなふうに性と向き合っているのか、インタビューを重ねていく。

軽々しく感想を述べられるものではない。
何を言っていいか、分からない。

「性は生きる根本」と言い、酸素ボンベをはずして風俗に通う竹田さんの話が、忘れられない。
好きだった人とは、一度だけキスをしたという。
泣けて仕方なかった。
天国でみどりさんと一緒になれますように。
| | 12:24 | - | - | pookmark |
 

ケネス・グレーアム 作
石井桃子 訳
E・H・シェパード さし絵
1908年
岩波書店


前から読みたかった一冊。
図書館にも必ず置いてある有名な児童書だけど、登場人物がモグラやネズミで、こんな長編で、タイトルが「たのしい川べ」って・・・
どんな物語なんだ??と、ちょっと謎に思いつつ、なんだか惹かれるものがあって気になっていたのです。

よかったよ〜。
イギリスの、人里離れた川や森に、トリップしました。
素直で純粋なモグラくんと優しいネズミくんの友情には、しみじみと感動。
かわいいなぁ、モグラくん。
いいやつだなぁ、ネズミって。

一番好きなのは、モグラくんが元の自分の家を見つける章。
最初家は荒れているけれど、ネズミくんの気遣いのおかげですっかりきれいになります。
そして、クリスマスキャロルを歌いにきた野ネズミたちも招き入れて、楽しく食事をするの。
モグラくんは‘たとえ粗末なものであっても、自分だけの家があるって、なんて素敵なことなんだろう’と思うんです。
あぁ本当にそうだねぇ…
またモグラくんの家っていうのが、イギリスの田舎家らしく、素朴でいい感じなんだ。
さし絵やカラーの絵も入っていて、‘モグラ小路’(玄関)が特にかわいくて好き!
絵は「くまのぷーさん」でおなじみのE・H・シェパードが描いているのですが、このお話の雰囲気にとてもよく合っていて、魅力になってます。

そしてね、ひたすらほのぼの系の物語かというと、ヒキガエルくんというイカれたキャラが笑わせてもくれます。
金持ちでうぬぼれやでほら吹きで、我慢することが苦手。で、どうもスピード狂。
そんな彼が車を盗んで、牢屋に入れられ・・・
ちょっとブラックなおかしさで、ニヤニヤしてしまった。
そういえばこの物語、「ヒキガエルの冒険」ってサブタイトルついてるんでした。

ちょっと話それますが。
思えば私、‘カエルもの’ってけっこう好き。
ふたりはともだち」とか、「火曜日のごちそうはヒキガエル」もすきだし、カエルのぬいぐるみとかマスコットとかも、何度か買ったことあるな〜。
なんか愛嬌あるんだよね、カエルって!

そして、この「たのしい川べ」ですが、石井桃子さんの訳もとてもいい。
今年の春に101歳で亡くなった石井さんですが、たくさんある訳書の中で、これは3作目だそうです。
心が洗われるような、きれいな日本語です。
| | 22:27 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |


横山秀雄 2003年
文春文庫


昨日の続きなんだけど、小泉今日子サンは読書が大好きで、新聞で書評を書いたりもしているそうだ。
先日のインタビューの中でも、最近のお勧め本を何冊か紹介していたのだけれど、その紹介の仕方がとても的確で、感服してしまった。
インタビュアーのアナウンサーも「さすがですね。面白さが伝わってきて、どの本も読みたくなってしまう」と唸っていた。

あんなふうにはなれないだろうが、私ももう少しマシな大人になりたい。
少しずつ書いて、修行していきましょうか。


・・・で、この本は最近読んだ中の一冊。
この夏公開された映画の原作です。

1985年に起きた、日航機事故。
地元紙の記者である主人公・悠木は、その全権デスクに任命される。
未曾有の航空機事故を伝える怒涛の日々と、悠木と家族との関係、一緒に山に登るはずだった仲間のこと、同僚や部下たちのこと、組織の中の派閥争い、そして新聞が伝えるべきことについての迷い、葛藤・・・様々なことが描き出されていく。

実は先に映画の予告とか紹介を見て、フィクションに近いものだと勘違いしてました。
作者は実際、事故当時には地元紙の記者だったということだし。
実際には、図らずも日航機事故の全権デスクを任命された、悠木という記者を描いた小説でした。
もちろん事故当時の新聞社内の様子は作者が実際経験したもののはずで、リアルな迫力をもって描かれています。
改めて事故の悲惨さを思い、新聞報道についてもいろいろ考えさせられました。
そして、悠木の口を使って語られる作者の言葉には度々胸が熱くなり、ついには悠木と一緒に‘落涙’・・・
最後には悠木の中で複雑に絡み合っていたものがきれいにほどけ、気持ちのいいエンディングです。

この小説は、企業で働く男性の方がより共感・感動できると思う。
新聞社内での派閥争い、同僚や上司や部下との関係なども、とてもリアルに描かれているから。
特に、日航機事故を知る40代、50代のお父さん方に、お勧めしたいです。
| | 14:41 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |